墓地についての基礎講座

墓地や埋葬の多様化

もともと、墓地は「家」単位のもので、家族は同じ墓に入るのが当たり前でしたが、核家族化や埋葬に関する人々の意識の変化によって、家単位の墓地を選ばないという選択肢も多くなってきています。まさに、墓地や埋葬の多様化であり、死後も個性を尊重しようという考え方が増えてきているのです。
墓地についての多様化の筆頭ともいえるのが、散骨ではないでしょうか。遺骨をどこに収めるかではなく、思い入れのある場所に撒いてもらうというのが散骨ですが、これも以前ならば死体遺棄罪に問われるようなものでした。法務省の見解によって現在は節度を持って散骨する場合は認められており、散骨を望む人が増えているだけではなく、それに伴って国の見解も変化していると考えられます。また、利便性から都心の納骨堂を選ぶ人も多くなっており、お墓そのものに対する人々の意識も低くなっているのです。お墓を選ぶにしても、この先代々入るお墓というよりは、個人の個性を尊重したお墓を建てる人もいます。将棋の駒の形をしたお墓や、音符の形のお墓など、趣味を表した墓石も増えており、〜〜家の墓というよりは、個人の墓という感覚で建てるお墓も増えているのです。
少子化によって、お墓を代々受け継ぐ家制度そのものの限界もあります。現在の法律では、結婚しても子どもである限り相続権はあるのですが、どうしても結婚によって名字が変わる女子にはお墓を受け継ぎづらいのが現実です。少子化の進む現在、子どもがいない夫婦、子どもが女の子のみの夫婦は事実上お墓を受け継ぐ人がいなくなるわけで、女の子がお墓を受け継いだとしても、一人っ子同士の結婚の場合、実家と婚家両方の墓を守ることになり、かなり負担になるため親としても無理に受け継がせたくないと考える人が増えています。現在では誰もお墓を受け継がなくてもお寺で永代供養をしてくれる永代供養墓なども増えてきており、無理に家のお墓を作って受け継いでいかなくても全く問題はありません。進む墓地の多様化により、さまざまな埋葬のやり方を選ぶことができるのはメリットだといえるかもしれませんね。

 

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